（※抜粋です。全文は「AERA」誌面でどうぞ） 　29歳のクリスマスはとうに過ぎた。もはやアラサーでもない。シングルの筆者（34）も含めた「30半ば」＝ミドル30、そう、ミドサー女子はぼんやりと 結婚したほうがいいんだろうなと思っている。 　千葉県在住、人材派遣会社勤務のサチエ（34）もそうだ。実家暮らしで、母親の視線がきつい。本人はあせってないのに、母親があせって いる。本人はそこまで気乗りしていないのに、母親はやけに熱心だ。今年、サチエは2度のお見合いをした。親族の「お見合いおばさん」に 母親が勝手に頼み込んでいた。 ■バーミヤンでお茶 　最初の相手は電機メーカー勤務のエンジニア（37）。東京工業大卒、1部上場、年収1000万円、次男…。つりがきは申し分ない。写真の 顔もまずまず。断る理由も見つからず、サチエはお見合いに臨んだ。 　郊外のビジネスホテルのコーヒーショップに、サチエ、母親、お見合いおばさん、エンジニア氏が集まった。司会はお見合いおばさんだ。 　―サチエさん、ご趣味は何？　「テニスです。下手ですけれど」 　―○○さん（エンジニア氏）は？　「スポーツは特に…」 　お見合いおばさんの質問は単調だ。小1時間たち、お見合いおばさんが例の一言を発した。「あとは若い二人で」 　サチエは戸惑った。この無口な青年と何を話せばいいのか。 　どこに行きます？と聞けば「どこでもいいです」。じゃあ○○に移動します？には「移動はしたくない」。コーヒーはさっき飲んだばかりで選択肢 が見つからない。と思ったら、エンジニア氏が遠くを指差し、口を開いた。 　「あの中華屋さん、お茶もできますよ」 　バーミヤンだった。サチエは断固拒否し、視界に入ったスターバックスに入った。 　会話らしい会話も見つからない。サチエはあらためて、趣味を聞いてみた。エンジニア氏が言いにくそうに、口を開いた。「アキバ通いなんですよ。 あの事件のせいでつまらなくなりました。早くホコテンが再開すればいいのに」 　サチエはお見合いおばさんに、断りの電話を入れた。 　2度目は慶應大卒の公認会計士（39）だった。ホテルのレストランでランチをした。お見合いおばさんは2人を対面させ、去っていった。 　公認会計士氏は、よくしゃべった。「なんで会社員になるのかわかりませんね。給料安いのに」「女の人っていいですよね。結婚したら、 自分で稼がなくてもいいんだから」 　カチンときた。家に帰ったら、先方から断りの電話が来たと聞いて、もっとカチンときた。 　サチエの結論。「私も売れ残っているけれど、残っている男には原因がある」 ■「かまととぶるかなぁ」 　マーケティング会社で働くチエ（36）は、真矢みきに似た美形だ。だが、30の半ばを過ぎ、自分の価値が大幅に下がっていることを痛感した。 　日曜日の昼下がり、麻布十番のカフェで5対5の合コンのはずだった。ところが、男性は1人しか来ない。残りのメンバーはゴルフ帰りで渋滞に はまったという。2時間遅れで到着したと思ったら、日に焼けた40後半の既婚者軍団だった。しかも、車で来ているので酒も飲まない。1時間も もたず、お開きになった。 　軍団の1人がチエの家の近所だった。「送っていくよ」と言われ、車に乗った。車はJR五反田駅の方向に向かっていた。 　「休憩していかない？」ラブホの前で止められた。チエが激怒したら、「三十路過ぎて、かまととぶるかなぁ」　と言われ、落ち込んだ。 　チエの結論。「飲み会をしないと出会いはない。でも、飲み会でうまくいったためしもない」 ソース（AERA　10/19号　34〜35ページ）　

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